雪の下

あちらこちらから梅の便り。
春が近づいてるよ…と
梅の花は知らせてくれる。
  
温暖化や様々な要因で
四季が明確ではなくなっても
自然はちゃんと季節を感じて
私達に知らせてくれている。
 
『雪の下』という色がある。
 
夏の水辺に咲く
『ユキノシタ』ではない。 
 
春が近づいて
一度咲きだした梅の花に雪が積もり
真っ白な雪の下にある梅の花の
その淡い薄紅色が『雪の下』 
  
『雪の下』は平安時代から、
重ねの色目にも使われた。
「表が白で裏が薄紅」の
繊細な色合わせでもある。
   
雪をかぶった梅の花は
凍りついてもじっと耐える。
やがて暖かくなって雪が溶けると
そこから咲き始めて満開に。
 
昔の人は、咲きかけて
雪をかぶった梅の花を見て
慎ましやかでありながら
逞しくも厳かなその姿に
尊敬の念を抱き、
長い冬を耐え、春を待つ
自らの励みにしたのかもしれない。
    
また人生の苦難の中にある時
雪をかぶった梅の花に自分を重ね
雪が溶け、春に花開く時を信じ
耐え忍んだのかもしれない。  
  
四季のある国、日本には
その季節の移ろいの中で生まれた
日本人の感覚でしかわからない
繊細な和の色がたくさんある。
『雪の下』もそのひとつ。