糊こぼしの御守り

東大寺二月堂に『糊こぼし』という
可愛い御守りがある。
 
この御守りは修二会本行中に練行衆が作り
ご本尊十一面観音様の仏前にお供えする
造花の椿を模った『糊こぼし』の御守り。
 
本行中の練行衆が造花の椿を作る際
糊がこぼれて白い斑点模様となり
『良弁椿(開山堂の庭椿)』を思わせるのが
『糊こぼし』の名前の由来。
 
数年前から車の鍵に付けていた。
いつも聞こえる小さな鈴の音が聞こえず
ふと見ると鈴がなくなっていた。
車の中や家を探してもなかった。
  
『御守りを落としたときは 
 身代わりになってくれたと思いなさい』
子供の頃、祖父に教えてもらった。
でも椿が寂しそうだった。
 
数日後のいいお天気の朝
仕事に行こうと家を出ると
満開を過ぎた桜が風で散り
自宅前の道がピンク色になっていた。
 
きれいだけれど溝が詰まってしまう。
鞄と車の鍵を一旦玄関に置き
箒と塵取りを持ち花びらを集めはじめた。

桜の花びらを集め、さらさらと
ちりとりからビニール袋に入れていると
ちりとりの隅に丸いものが光った。
御守りの鈴だった。
 
おかえりなさい。

枝を離れた桜の花びらが
大切に守って渡してくれた。

ありがとう。

お隣の桜の老木をしばらく見上げて
いつも通り仕事に向かった。

越中井

散策や散歩にいい季節です。
事務所界隈は歴史が幾層にも重なる場所。
ついつい歩きたくなります。

事務所から歩いて15分ほど。
大坂城の南側に『越中井』があります。

この辺りは豊臣大坂城時代の大坂城三の丸
戦国武将の屋敷が立ち並ぶ場所でした。
『越中井』は細川越中守忠興屋敷跡に。
 
細川ガラシャという洗礼名で
珠子をご存知の方も多いと思います。
越中井は明智光秀の三女、細川忠興の正妻、
細川珠子が世を去った場所。
 
本能寺の変以降、光秀の娘である珠子は
離縁の後、秀吉のはからいで復縁するも
孤独で辛い月日を送ります。
珠子がこの屋敷に移り住んだのは
秀吉のはからいで幽閉先から戻された後。
外出も許されず極限の精神状態の中
キリスト教と出会いクリスチャンとなります。
  
秀吉の死後、石田三成がガラシャを人質に
忠興を味方につけようとしますが
人質となることを拒み、子ども達を逃がし
クリスチャンであるガラシャ自身は
自害は許されない為、家老小笠原少斎に命じ
屋敷を燃やし最期を遂げました。
 
『ガラシャ』とは『神の恩寵』という意味
 
どのような状況でも自身の生き方を貫き
静かに戦い散っていったガラシャ。
その死は神のもとへ旅だつという
幸せな死であったのかもしれません。
 
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散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 
 花も花なれ 人も人なれ
  ~細川ガラシャ 辞世の句~
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