デビュー

今年の夏は本当に暑かった。
いや、9月になっても
まだまだ過去形ではなく暑い。
 
外に出ると無意識に日陰をさがす。
大好きな通勤路もショートカット
地下鉄にあっさり乗ってしまう。

なんとなく町行く人を見ると
老若男女を問わず日傘をさしている。
長く生きてきたけど
今まで傘は雨の日だけのものだった。

8月の休日出勤の帰り道
地下鉄と私鉄の乗り換えで通る
デパートの「日傘コーナー」で
思わず立ち止まってしまった。

なんて軽い。なんて小さい。
これで晴雨両用?と感動。
「雨の日も使えるもんね」
…という言い訳が背中を押してくれた。
ついに「日傘デビュー」だ。

ところが買ったものの
電車を降りてバッグから取りだし
広げるのが面倒くさくて
太陽を浴びたまま突っ切っていた。
 
9月のある日の午後。
取引先へ西に向かって
駅から15分ほど歩く時に
やっと日傘デビューした。
結局、初めて使ったのは9月。
 
ちなみにデビューの語源は
フランス語の「début」
「dé-」(離れて)と「but」(目標)で
まだ目標に遠い状態のことで
つまり「物事の始まり」の意味。
もともとはビリヤードの
最初の一打の意味だったらしい。

使うと快適。
そんなに大層なコトだったのか?
もっと早く使えばよかった。