花の散り方

寒く長かった冬も遠くなり
花と緑の季節の到来。
桜をはじめ次々と花が咲いて
そして散っていきます。
 
この「花が散る」
和歌や俳句などでは
花それぞれに表現があります。

桜は 「散る」
梅は 「こぼれる」
朝顔は「しぼむ」
菊は 「舞う」
椿は 「落ちる」
牡丹は「崩れる」

それぞれの花が蕾をつけ
花開き、そして散っていく…
表現通りの様子が浮かびます。
 
5月に入り花開いた芍薬。
色々な種類があり花びらの数も違い
多いものは100枚以上の花びらが。
あの小さく硬い蕾の中でどうやって
これだけの花びらを育んだのか
驚くほどの大きな花が咲きます。

せいいっぱい咲き切った芍薬は
俯いて涙の粒を落とすように
きれいな花びらを潔く散らせます。
その瞬間は儚いものです。

花はそれぞれ蕾をつけて花開き
咲き誇る時も散る時も
美しく風情があります。

花の散り方の「和」の繊細な表現は
四季のある国だからこその
研ぎ澄まされた感性と
繊細な表現を持つ日本語だから。

5月18日は「ことばの日」

外国語を話せることはとても大切
でも日本語は奥が深い。
この素晴らしい言葉を持つ国に生まれて
本当にシアワセ。

ガイドブック

長い付き合いの仕事仲間と会った。
もう35年くらいだろうか。
何か用があるわけではなく
「最近どうよ?」と
年に数回お茶をする。
 
「これ事務所あたりだね」
と先日かわいいA6サイズの
谷町6丁目ガイドブックを頂いた。
 
この界隈には無料のミニマップや
広告入りガイドブックも多く
あちこちで配布されている。
でもこの一冊は一線を画している。
 
取材した情報を
どっさりてんこ盛りにした
よくあるガイドブックではなく
谷町6丁目を知り尽くした
ライターや編集者の
「大好きな店や町を紹介したい」
そんな想いのこもった一冊だ。
 
私にとっても谷町6丁目界隈は
南船場に事務所があった頃から
30年以上愛してやまない町。
  
小さな本のぺージをめくると
ガイドブックを開いた時
普通に感じる感覚ではなく
ただ愛おしく懐かしかった。

このガイドブックの発行は
2019年5月。
大きく世界が変わる前。
それからコロナ禍を経て
コロナ禍中に閉店したお店や
店の親父さんが亡くなったり
建物そのものがもう無い場所も。
 
2019年から数年は
コロナ禍を含め、想定外のことが
個人的にも次々起こり
とんでもない時期だった。
  
ページをめくると
その頃の記憶が戻ってくる。 
文字に、写真に残るその頃は
たった6年前なのに
遠い昔のような気がする。
 
ガイドブックは
最新の情報を得る本のようだが
数年経ってから開くと
また違う感覚で
大好きな町や場所を俯瞰できる。
 
今度馴染みの店に足を運んだ時
すこし懐かしい気分になりそうだ。

もし古いガイドブックが
お手元にあれば
そっとページを開いて欲しい。