
毎年この時期になると
御堂筋の渋滞に紛れ込み
アメリカ大使館あたりから長堀通まで
ゆっくりゆっくり光を楽しむ。
いつもなら流れの良い車線に移動し
早く目的地へ着くように走る。
でもこの時期は徹底して左側道
ずっとキープして走る。
御堂筋イルミネーションは
2009年に始まり歴史はまだ浅い。
今ではなくてはならないイベント。
銀杏の木はさぞ迷惑だろうと思いつつ
幻想的な景色を楽しみながら
一年の出来事を振り返りながら
変わらず年末を迎えられることに感謝する。
夜の闇にともす火や灯りに
特別な意味を込めて
想いや願いを託してきた文化は
世界各地で共通している。
焚火の周りに集い、神前に燈明を捧げた。
家の窓からこぼれる光は
安心や愛情を感じることができる。
古代から光は生命や希望の象徴で
闇は怖れと忌み嫌うものと結びつき
光はそれを押し返す存在であり
神聖なものでもあった。
御堂筋イルミネーションは賛否両論
けれど古来から受け継がれてきた
「光に意味を託す文化」
そのひとつなのかもしれない。
普段は仕事のフィールドである御堂筋。
大阪のメインストリートで
日常と非日常が光で演出されている。
単なる照明に照らされた景色ではなく
人間がずっと心の中に灯してきた感情を
都市空間に可視化している。
毎年テーマがあり、新しい試みもあり
変化し続けているけれど
基本的な部分はずっと変わらない。
ただ美しいだけでなく
人の心の中に育まれてきた祈りや想い
いろいろな感情が戻ってくる。
華やかだけれど、どこか静かで
人も車も穏やかにゆっくり動いていく。
冷たい凛とした空気の中
降り注ぐ光に包まれて
この一年を振り返ってみませんか。

