
毎年7月~8月の朝
藤原京跡の蓮の花に会いに行く。
紅色。淡い桃色。
白。絶妙なグラデーション
同じ色はひとつもない気がする。
水面が多くの葉で覆われ
見えない水面下にある根は
地下茎とも呼ばれて
泥の中を這うように伸び
太い茎のようになっている。
暑い夏に涼しい顔で
背筋を伸ばして咲く蓮の花。
夜明けに蕾が開きだして
太陽が昇りきると閉じる。
その風情からは
想像できない水面下。
そのギャップも含めて
愛してやまない花。
夜明けに蕾が開く時
「ポン」と音がする。
数年前に一度だけ
藤原京跡で聴いたことがある。
先日はじめて「白蓮」を見た。
葉も蕾も花も
びっくりするほど大きい。
「高貴」という言葉でしか
表現できない風情。
「蓮は濁りに染まらず」
仏教の世界観や象徴性と
深く結びついている意味が
わかる気がする。
白蓮が開く瞬間
そこに居たい。
蕾が開く音を聴きたい。
蓮の季節が終わる前に
その一瞬のために行く
きっととびきり贅沢な
夏の朝になる。