ガイドブック

長い付き合いの仕事仲間と会った。
もう35年くらいだろうか。
何か用があるわけではなく
「最近どうよ?」と
年に数回お茶をする。
 
「これ事務所あたりだね」
と先日かわいいA6サイズの
谷町6丁目ガイドブックを頂いた。
 
この界隈には無料のミニマップや
広告入りガイドブックも多く
あちこちで配布されている。
でもこの一冊は一線を画している。
 
取材した情報を
どっさりてんこ盛りにした
よくあるガイドブックではなく
谷町6丁目を知り尽くした
ライターや編集者の
「大好きな店や町を紹介したい」
そんな想いのこもった一冊だ。
 
私にとっても谷町6丁目界隈は
南船場に事務所があった頃から
30年以上愛してやまない町。
  
小さな本のぺージをめくると
ガイドブックを開いた時
普通に感じる感覚ではなく
ただ愛おしく懐かしかった。

このガイドブックの発行は
2019年5月。
大きく世界が変わる前。
それからコロナ禍を経て
コロナ禍中に閉店したお店や
店の親父さんが亡くなったり
建物そのものがもう無い場所も。
 
2019年から数年は
コロナ禍を含め、想定外のことが
個人的にも次々起こり
とんでもない時期だった。
  
ページをめくると
その頃の記憶が戻ってくる。 
文字に、写真に残るその頃は
たった6年前なのに
遠い昔のような気がする。
 
ガイドブックは
最新の情報を得る本のようだが
数年経ってから開くと
また違う感覚で
大好きな町や場所を俯瞰できる。
 
今度馴染みの店に足を運んだ時
すこし懐かしい気分になりそうだ。

もし古いガイドブックが
お手元にあれば
そっとページを開いて欲しい。