カラーチップ

カラーチップ

それなに?と思う方
懐かしい…と思う方

?十年ほど前から…笑
印刷やデザインに関わってきた方は
このネタで話がどんどん広がり
一晩でも盛りあがれると思います。
  
簡単にざっくり言うと…
カラーチップは印刷の色見本。
   
色を正確に伝えることは
とても難しいこと。
特にシビアな色、例えば…
コーポレートカラーや商品のキーカラー
イメージカラーなどは正確に伝えて
共通認識を持つことが必要。
   
カラーチップは色を伝えるための道具。
 「赤はこれ」
 「ここはこの色ね」
と、小さな紙片を添付して
伝えたわけです。
  
カラーチップはもちろん現役で
デジタル版もあります。
でも私はこの紙のチップが好きで
時々ひっぱりだしてきます。
 
当時、印刷物をお願いする時は、
「このチップより少し沈んだ赤」
「これより深い黒でお願い」
と微妙なニュアンスを伝えながら
印刷屋さんと打合せしました。
今思えば、大切な楽しい時間でした。
 
効率と精度とスピードとひきかえに
消えていった大切なこともたくさん。

でも今の土台はそこに。
その時代を過ごしたことは
とっても大切な宝物。
  
※写真はDICのカラーチップ

浮世の月

谷町四丁目からちょっと北。
東側歩道にひっそり佇むのは
「此界隈井原西鶴終焉之地碑」
井原西鶴が人生を終えた場所です。

「浮世の月
 見過ごしにけり
 末二年」

井原西鶴の辞世の句。
この句には前書きがあります。

「人間五十年の研まり
 それさへ我には
 あまりたるに ましてや」

西鶴が生きた時代では
人生は50年と言われていました。
辞世の句は現代語にすると
こんな感じでしょうか。

「50年の人生は楽しかった。
 でもあまりにこの世は楽しく、
 二年余分にうっかりと
 生きてしまった。」

西鶴の人生最後の言葉は
戯作作家らしいシニカルな表現。
西鶴の一生も苦労が多々ありました。
でも「楽しかった」と。
 
当時と比べ、寿命は倍近くの現代。
心配事に時間を費やすのではなく
心配事を忘れるくらい楽しく
人生最後の時まで
うっかり過ごせたら
どんなに素敵でしょう。

「あぁ。楽しかった」と
旅立ちたいものです。

※井原西鶴(寛永19年~元禄6年)
 江戸時代の大坂の浮世草子
 人形浄瑠璃の作者であり俳諧師。
 別号は鶴永、二万翁、西鵬。