路地

高低差の大きい上町台地には
表通りの道から裏通りに繋がる
細い路地があちこちにある。
階段のついた路地や
通りに面した家の中を通るような
屋根のついた路地もある。
 
空堀界隈にも路地が多くあり
さながら迷路のように
「え?ここに出てくるんだ」
…な面白さもある。
でもそこは生活の場なので、
「おじゃまします」の気持ちで
そっと通らせて頂くことが大切。
 
この屋根のついた路地。
奥の長屋や借家への通路だったとか。
奥にある家への配慮で
遠回りせずに入れるように
表通りの家の1階の一部を
通路にして通れるようにしたとか。
他にも諸説ありますが、
奈良の「通り土間」や
京都の「通り庭」ともまた違った
独特の風情があります。
 
理由はどうあれ、その路地は
さながらタイムトンネル。
異次元への通路にも思えます。
 
いくつかの路地の向こうには
本当に昭和な空間があり
長屋が続く路地の奥には
大切に祀られたお地蔵さんや
お稲荷さんの古い社があったり
そっとしておきたい場所。
  
絶対に偶然には通らない場所に
素敵なカフェやバーも。
昔からの食堂やお好焼き屋さんや
雑貨や和装のお店があったりする。
 
もう何年もこの界隈を歩き回り
かなり土地勘はあるのだけれど
それでも行ったことあるのに
場所がわからない…こともある。

そういう場所はきっと
大切にそっとしておくべき場所。

水無月に水無月

日本に生まれてよかった…と
美しい景色に出会った時や
季節を感じた時、
そして長い歴史をもつ
季節の行事に触れた時
しみじみと思います。

季節の行事には
行事食というものがあります。
数多い行事食には
それぞれにちゃんと意味があります。
 
水無月には涼し気な
「水無月」という和菓子があります。
関西の方には馴染みがあり
毎年食べてる…という方も。
 
水無月は節分や土用の丑の日のように、
決まった日に食べる習慣があります。
 
水無月は三角の形をした和菓子で
ういろうに小豆をのせて固めたもの。
 
その由来は旧暦6月1日に氷を食べると、
夏に体調を崩すのを(夏バテですね)
予防する…という風習から。
 
6月1日の夏バテ?予防祈願は
室町時代の宮中で行われていた行事。
庶民には高級品の氷は手に入りません。
そこで、氷に似たお菓子を食べて
夏バテ予防をしたのが水無月の始まり。
 
三角形の形は氷の欠片や氷の角を表し、
小豆は邪気払いや悪魔祓いという意味が。
氷に手が届かなくても
季節を楽しもうとした庶民の知恵ですね。
 
6月30日に食べるのは
本格的な夏になる7月が来る前に
夏越の祓いで邪気を取り除き、
水無月を食べ暑い夏を乗り切る意味が。
 
でも、栄養価も高いし、
小豆は身体を温めてくれる。
氷よりいいよね?と思います。

そろそろ和菓子屋さんの店先に
水無月が並び始めました。
30日まで待たずフライングしてもOK。
この季節だけの楽しみ。
由来など思い浮かべながら
ゆっくり味わいたいものです。