八重の梅

八重の桜ではないし
綾瀬はるかのファンでもないです。
「プリンセストヨトミ」の次に
この投稿になっただけ。
   
快晴の休日。南紀へ向かった。
この季節、田辺あたりから南は
車の窓を開けると梅の香りがする。
小さな控え目な花だから
目には止まらないけれど
香りで開花を知らせてくれる。
 
もう春だな…と
暖かい春が嬉しい気持ちと
ゆく冬を惜しむ気持ちが
なんとなく複雑で少ししんみりする。
 
海沿いのいつものスーパーに入ると
とてもいい香りがしてきた。
生鮮売場で魚介類を焼く香りではなく
存在感のある梅の香り。
  
香りのする方へ行ってみると
切り花売場には立派な梅の枝。
枝の名前は「八重の梅」
たしかに花びらが重なってる。
値段を見て驚いた…150円。
もう魚介類はどうでもよくなり
梅の枝を買って車に乗せた。

家に連れて帰ると
以前からそこにいたかのように
二階の和室で枝を広げ
蕾をひとつひとつ丁寧に開き
毎日家に帰ると
春の香りで迎えてくれる。
  
そして開ききった花は
ひとつひとつそっと散っていく。
 
畳に落ちた花びらを
手の平にのせようとすると
少し空気が動いただけで
すっと逃げてしまう。
そういえば桜の花びらのように
地面を覆う梅の花びらを見たことはない。
 
華やかではないけれど穏やかな花。
そっと春を告げて
そっと散っていく
そして実を残す
以前から好きだった梅。
今年はいっそう愛おしい。