パキラ

事務所のドアをあけたら
天井まで伸びたパキラがいる。
朝は必ず「おはよう」と声をかける。
  
もとパキラ…と言った方がいいくらいに
一枚一枚の葉っぱがでっかい。
スクスク育って天井まで伸びて
今度は横向きに枝を広げている。
  
15年以上前の話。
ホームセンターのレジで並んでいる時
レジ横に枯れかけた鉢が置いてあった。
このパキラはその中のひと鉢だった。
 
3本のパキラが三つ編みになった
プレゼントしたら喜ばれる
よくあるおしゃれな鉢植。
3本のうち2本が枯れていた。
でも残り1本は元気に葉をつけていた。
「この鉢はどうするんですか?」と聞くと
「枯れたから廃棄です」と店員さん。
 
まだ元気な木があるのに…と思っていると
「よかったらもっていってください」
以心伝心とはこのこと。
パキラと私の目があった。
お礼を言っていただいて帰った。
   
事務所に連れて帰った40㎝程のパキラ。
2本は枯れていったけど
1本は超元気でスクスク育っていった。
  
数年後今の事務所に移転する時
倍以上に大きくなったパキラは
鉢の土を落とさないよう
ビニールでグルグル巻きになって
一緒に引っ越してきた。
 
前の事務所よりも陽当たりが良いせいか
遠慮なくガンガン伸びて
今では天井に届いて窮屈そう。
頑丈な太い木になってる。
 
木と人もご縁でつながっている。
  
事務所に来て下さった方によく聞かれる。
「これってなんの木?」
「もとパキラです」