薄恕一

難しい字ですね。
読みは薄 恕一(すすきじょいち)
 
薄 恕一のお話の前に…
相撲界でよく耳にする言葉「タニマチ」
意味・語源をご存じでしょうか。
  
「タニマチ」は
贔屓にしてくれる客や、後援者など
無償のスポンサーのこと。
  
最近では、スポーツや芸能界でも
使われているようです。
こちらはちょっと厄介な取り巻き等
マイナスなニュアンスで
使われることも多く残念ですが
本来「タニマチ」は
善意の無償のスポンサーでした。
  
1889年、谷町六丁目に
外科「薄病院」を開業した薄 恕一は
場所中、幕下力士のために
病院内に土俵を設けたり
幕下力士を無料で治療したり
小遣いを与え、面倒をみました。
 
それをきっかけに、谷町七丁目の医師が
力士の治療を無料でしたり
谷町界隈の呉服問屋たちも
なにかと力士を応援したことから
「タニマチ」と言われるようになったそうです。
今では少なくなりましたが、かつて春場所中、
この界隈に宿舎が多く構えられました。
 
薄 恕一は、力士だけではなく
幼少期から身体が弱く、貧しかった
直木賞のもととなった作家
直木三十五の面倒もみておられました。
 
医師薄 恕一は
 貧乏人は無料
 生活できる人は薬代一日四銭
 金持ちは二倍でも三倍でも払ってくれ
という方針を貫いた方。
 
西洋医学が育った上町台地で
「医は仁術」を貫かれたのですね。